ヒット曲には覚えやすいメロディーや心を打つ歌詞など様々な要素がありますが、中には単調なリズムの曲もあります。つまり、シンプルなリズムで聴き飽きてしまいそうな曲でも、大ヒットにつながることがあるのです。
その代表格として挙げられるのが、アメリカのバンド「アメリカ」による『名前のない馬(A Horse with No Name)』(1972年)でしょう。リズムは単調で歌詞も情景描写が中心ですが、全米1位という大ヒットを記録しています。当時の日本では総合チャート上位に入るような記録はありませんでしたが、洋楽ファンの間では非常に人気の高い名曲です。
80年代にも、こうしたシンプルな曲が大ヒットしています。ユーリズミックスの『スウィート・ドリームス(Sweet Dreams (Are Made of This))』も、1983年に全米1位を獲得しました。あまりにもリフレインが単調なため、当時は「お経のようだ」と評した人もいたほどでした。
ユーリズミックスにはヒット曲が多く、1985年の『ゼア・マスト・ビー・アン・エンジェル(There Must Be an Angel (Playing with My Heart))』も全英1位を記録しています。こちらはメロディアスで曲の冒頭から惹きつけられるナンバーです。日本のTVドラマやCMなどでもよく使われていたため、聞き覚えがある人も多いでしょう。スティーヴィー・ワンダーがハーモニカで参加していることでも有名です。
また1984年には、ジョージ・オーウェル原作の映画『1984』が公開され、ユーリズミックスが手がけた『1984のテーマ(Sexcrime (Nineteen Eighty-Four))』がヒットしました。しかし、これは映画監督の意向に添わなかったようで、公開バージョンによっては彼らの曲が使われていないケースもありました。
個人的に「究極の単調な曲」として強く記憶に残っているのが、ホット・レッグスの『ネアンデルタール・マン(Neanderthal Man)』です。メロディーもリズムも歌詞もひたすら単調で、まさにタイトル通りの原始的な泥臭さがあり、聴いた当時は大きな衝撃を受けました。なお、ホット・レッグスのメンバーが中心となって結成されたのが「10cc」です。彼らは後に、全英1位・全米2位を獲得した大名曲『アイム・ノット・イン・ラブ(I'm Not in Love)』を発表することになります。
『アイム・ノット・イン・ラブ』の歌詞は「本当は恋しているのに、それを強がって否定する」というあまのじゃくな内容です。『ネアンデルタール・マン』も実験的な作品でしたが、『アイム・ノット・イン・ラブ』でも、アナログ時代に3人分の声で13音の音階をそれぞれ16回重ね合わせ、テープの端と端をつないで無限ループのコーラスパートを作るという、狂気とも言える途方もないレコーディングを行っています。まさに「肉声によるシンセサイザー」と言えるでしょう。
一口にヒット曲と言ってもヒットの理由は様々であり、中にはこうした実験的な試みや偶然の産物から生まれた名曲もある点が非常に興味深いですね。
※何も考えずにうまくいくこともあります。特にワークアウトはひたすら続けることだけを考えるとうまくいくかも。


