はじめに
雨の日が嫌いな人は多そうですが、反対に「雨音を聞いていると心が落ち着く」という人もいます。雨が降らないと困る仕事もあれば、降ると困る仕事もある——物事には常に二面性がありますが、雨をテーマにした名曲を聴いて困る人はいないはずです。
今回は、私がこれまで親しんできた洋楽ポップスの中から「雨」にまつわる名曲たちをご紹介します。
60年代を彩った洋楽雨ソングと「邦題」の裏側
60年代の雨の曲といえば、以下の3曲がすぐに思い浮かびます。
「悲しき雨音」(ザ・カスケーズ)
「雨に消えた初恋」(ザ・カウシルズ)
「雨にぬれても」(B.J.トーマス)
カウシルズは美しい家族ハーモニーが印象的なグループで、日本でも放映されたTVドラマ『パートリッジ・ファミリー』のモデルになったと言われています。
カスケーズの「悲しき雨音」は、私自身カラオケで歌うほど大好きな曲です。ところで、当時の洋楽の邦題には「悲しき〜」「悲しみの〜」という言葉が多用されていました。「悲しき初恋」「悲しみの街角」「悲しきインディアン」など例を挙げればきりがありませんが、当時の日本には「マイナー調の曲がヒットしやすい」という特有の空気感があったようです。
ザ・ローリング・ストーンズの「悲しみのアンジー」が日本で大ヒットした際も、「ビートルズ人気の影に隠れていたストーンズが、日本人の好むマイナー調を出したからヒットした」という分析がなされました。しかし、実際には「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」の方が日本のランキング上位でしたから、評論家の分析もあまり当てになりませんね。
映画を彩った名曲と「隠された雨の意味」
映画『明日に向かって撃て!』の主題歌として有名な「雨にぬれても」(バート・バカラック作曲/B.J.トーマス歌)は、映画とともに世界的な大ヒットを記録しました。
一見、雨とは無関係に見える「カリフォルニアの青い空」も、原題は『It Never Rains in Southern California』という立派な雨の曲です。「南カリフォルニアでは滅多に雨は降らないが、降るときは大どしゃ降りになる」という挫折を描いた歌詞になっています。
また、変わった視点ではクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(CCR)の「雨を見たかい」が挙げられます。一見爽やかな曲ですが、実はベトナム戦争への反戦歌であり、「雨」とは空から降り注ぐナパーム弾(焼夷弾)を例えたものだという説があります。映画『地獄の黙示録』で、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」を響かせながらナパーム弾を投下するシーンを彷彿とさせます。
「雨の日」と「月曜日」は世界共通で憂鬱?
カーペンターズの「雨の日と月曜日は」は、「雨の日と月曜日は気分が滅入る」と歌う切ない名曲です。外回りの営業マンなどは、まさに共感してしまうシチュエーションではないでしょうか。同じ雨の歌でも、晴れやかな曲もあれば憂鬱を描いた曲もあり、聴き比べる楽しさがあります。
ちなみに、「月曜日」をテーマにした曲もヒット作がたくさんあります。
「マニック・マンデー」(バングルス)
「マンデー・マンデー」(ママス&パパス)
「哀愁のマンデイ」(ブームタウン・ラッツ)
「月曜日が憂鬱」というのは国を問わず世界共通の感覚のようです。日本で言う「サザエさん症候群」は、世界中で歌にされてきたのですね。
※憂鬱な雨の日はこのBGMを流して気分を落ち着かせましょう。


